ここ10年くらいで、コーヒー事情を変えた立役者であるスペシャルティコーヒーについて簡単に説明します。
従来のコーヒー豆は、規格やブランドイメージのような味以外の基準で価格が決められていました。そこで、品評会により評価基準がもたらされ、スペシャルティコーヒーの定義ができました。
生産国での栽培管理や収穫など、生産管理が適正になされていて、欠点豆の混入が少ない生豆であることが条件のひとつです。輸送や保管も適正に行われ、劣化の少ないように焙煎され、さらに適正な抽出がされて、カップに生産地特有の風味がそのまま楽しめるのが、スペシャルティコーヒーとなります。
つまり、トレイサビリティとサステナビリティの概念は重要な要件となります。
ただし、国際的な統一基準はなく、各国の協会によって定義は異なっています。
カッピング方法や評価方法も独自で決められていますが、しっかりしたプロセスがあるので、高品質なコーヒーに違いありません。従来のコーヒーの味は、酸味と苦味で表現されています。スペシャルティコーヒーの場合は、香味の要素の多さによって、個々のキャラクターを評価します。この評価方法にはなんと、苦味の項目はありません。
コーヒーの苦味について
コーヒーの味は、基本的に酸味によって構成されています。
苦味は植物からなるコーヒーの本来の味ではありません。
これは焙煎という加工によって発生する要素で、焼けや焦げによってつけられた味なのです。
しかし、味覚は主観的なので、スペシャルティコーヒーだけが美味しいわけではありません。
素晴らしいコーヒーは品評会に参加しない農園でも栽培されているからです。
美味しいコーヒーを選ぶ時に、複数のものさしを持てば、コーヒーの楽しみ方も広がります。ブランドがひとり歩きしたり、それに拘わる飲み方ばかりでなく、美味しいコーヒーを探求することで、味覚のセンスも磨かれていくものです。
コーヒーについて、あれはスペシャルティだ!とかこれはスペシャルティではな!など議論がよくあります。
ただ僕個人的には、本当に美味しいと感じるコーヒーは、皆同じでなくそれぞれの楽しみでもいい!と心から感じています。
コーヒーは飲んで初めて価値あるものになるものですから。